NHK番組「仕事の流儀」トークスペシャル羽生三冠 2006-11-23 ○長考 今までの一番の長考は一手3時間半。 ずっと手を読んでいた。 その局面で結論を出そうとすると、いくら時間があっても足りなくなる。 ○将棋は他力 トッププロ同士の対局では、他力が勝負を決める。 いかに自分が何にもしないで相手に手を渡すか、というこが一番大きな駆け引き。 相手の出方を見てから手を決める、これが一番よい指し方。 相手の力を利用して投げる武術に通じるところがある。 ○7冠達成後 漠然とした感じになった。エンドレスなタイトル戦が続き、感覚がマヒしてくる。 朝起きてここはどこ?なんてことがあった。 ○7冠から1冠へ 7冠達成は圧倒的な力で勝ったという感覚はなく、ギリギリのところで勝ったのが積み重 なっただけ。世間の見方と自分の見方の間にギャップがあった。 スランプならいい、でも実力ならしかたがない。 スランプも3年続けば実力。不調が3年も続いたら、少しは考えたかもしれない。 ○車の運転は危険 対局後、車を運転していると、つい、知らない間に局面のことを思い出してしまう。 3秒とか10秒とか。それで、車の運転は危ないと思って止めた。 ○直感 指し手をしらみつぶしには考えられないので、まず直感に頼ってそれから読み進めていく 。直感は今までの積み重ねから浮き上がってくるもの。 そして直感には、自分の好みがハッキリと出る。 ○集中力 創造性が求められるときに集中力が増す。 一番集中しているときは、時間の感覚がなくなる。あとから振り返ってどれくらい時間が 経っているのかわからない。本当に集中していると、そのときのことを思い出せない。 あとから思い出せるということは、あまり集中していないということ。 ○戻ってこれない感覚 ずっと集中していると戻ってこれないという感覚がある。 眠るとき以外は、考えようと思うば考えられてしまう。それではまるで取り付かれている ような感覚になる。 ○将棋を極める 仮に60年間やっても極めつくせないもの。 全然違う課題が出てくる。だから、今までも見たことがない場面を楽しめるかどうか。 「センス」や「閃き」も確かに必要だが、長続きはしない。 同じペースで走り続けられる人こそすごいと思う。